若手社員お悩み相談所 第21回
確か新銀行東京は、バブル経済崩壊後の金融機関の中小企業に対する貸し渋り・貸し剥がしに対して、石原都知事が中小企業救済を謳って新設した銀行です。無担保、無保証も謳っていたと記憶しています。
中小企業にとっては何とありがたいことか。さすが石原都知事と思ったものです。
ビックリしましたね。
「いざとなったら中小企業に融資しない銀行とは何たることか。既存の銀行が融資しないなら、俺が銀行を創って融資してやる」石原都知事は当時大見得を切っていましたからね。
当然、新銀行東京の経営はしっかり見ているものと思っていました。
「私は発案はしたが、実践するのは経営者の仕事だ」と、新銀行東京の惨憺たる経営責任はすべて前代表執行役の責任だと言い切っているみたいですけど…。
「私は中小企業を救済する劇的な方策を発案してあげたのだから、それで役目は十分でしょ」と、そんな感じがしますね。
「あとは実務者がちゃんとやればいいのですよ」といったところでしょうか。
でも、具体的ではない理想論を言うだけなんて誰にでもできることですからね。私だって言えますよ。
はいはーい! 俺も言えますよ〜。「体力のない中小企業には無担保、無保証で融資してあげます! 融資する銀行も、大手都市銀行に負けない数字を出しましょう! これだけ言ってあげたら、あとはみんながやってくださいね! 簡単でしょ?」ってね! どうですか〜?
7、8回顔洗ってきてもらいたいですね。そんな理想論を言うだけで簡単に中小企業融資がうまくいくんだったら、みんなハッピーになるはずです。
現実には、銀行から借り入れをする中小企業が多いということは、財務体質が脆弱だからです。
もちろん無借金の中小企業もあるでしょうが、そういう企業は財務内容が充実した高収益企業で、その数はやはり少数派ということになります。
銀行からしてみれば、借りて欲しい中小企業は借りる必要がなく、貸しても返済リスクがある中小企業ほど喉から手が出るほど融資してもらいたがっている…と。何だかヘンテコリンな話ですね。
でも、それが現実です。
10年前の貸し渋り・貸し剥がしのときは銀行自身の格付けの裏づけになる『自己資本比率』を上げなければならないという、従前にはなかった特殊事情がありました。
ですから、その引き上げ作業は冷徹を極めたようです。
うは〜…。銀行ってそんなに冷たいものなんですか〜?
冷たいといえば冷たいですし、当たり前といえば当たり前なんですけどね。私が銀行マンだったとしても、やはり同じ行動をとると思います。
お金を貸して、ちゃんと期日通りに返してもらえれば利益が出ます。しかし、返済してもらえず、なおかつ焦げついてしまった日には、それはすべて損になってしまいますからね。
だからこそ、銀行の融資先を見る目がポイントになってくるのです。
どこの中小企業も、自分の会社が潰れるなんて思って仕事してないですよね。
以前書籍で松下電器やホンダ、ソニーの成功物語を読んだことがありますけど…。今では大企業となったところだって、スタート時点ではみんな中小企業。銀行の支店長さんがその将来性を見抜き、一方ならぬ支援をした甲斐があって今現在の姿があるわけですもんね。
…今の時代、もうそんな感動的な話はないんでしょうか?
どうでしょうか。私が知らないだけであるのかもしれませんが、ひとつ言えることは、銀行の支店の権限がその昔より大幅になくなってしまったのではないか、ということです。
銀行マンがよく「本部が、本部が」という言葉を口にするのですが、この言葉を口にしたときはまず案件に後ろ向きなときです。
まぁ断り文句みたいなものなのですが、あながち取ってつけたような断り文句ばかりでなく、本当に本部の力が強くて支店ではどうにもならないようなことになっている気がします。
んん? どういうことですか〜?(そろそろついていけなくなってきた…)
そうですねぇ。
長くなりそうなので、続きは来週にお話しいたしましょう。
しかし石原都知事は「新銀行東京がこんな惨状になっているとは思わなかった」と、他人事のように発言していますが。